事業協同組合の設立
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事業協同組合の設立

中小企業は、大手企業と比べると人材、信用力、資金調達力、情報収集力などで劣って
います。
それら経営資源が乏しい中小企業が自社だけで経営資源をまかなうのは難しいといえます。
このような問題を解決するために、複数の中小企業が集まり、事業協同組合を設立する
ことにより、企業同士がノウハウ、情報などを提供でき、互いに助けあって経営を強化して
いくことができるのが、事業協同組合の特徴です。
また、最近では人材不足を補うために外国人技能実習生の受け皿として事業協同組合を設立
する企業も増えています。  
事業協同組合は下記のような場合に適しています。

(1) コストを削減したい
(2) 資金調達がしたい
(3) 高額な設備を導入したい
(4) 他業種と連携して新商品を開発したい
(5) 今よりも大口な仕事を受注したい
(6) 社員教育など経営資源を強化したい
(7) 外国人技能実習生を受入れたい など


なお、事業共同組合は、資源・資産をそのままに「株式会社」に組織変更することが
可能です。


■中小企業の範囲
資本金又は従業員数が下記に該当すれば中小企業となります。

業種名 資本金 従業員数
製造業・その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下

その他の業種には、鉱業、建設業、電機、ガス、熱供給、水道業、運輸・通信業、金融・保険業、不動産業等
が含まれます。


■注意
事業協同組合を設立して外国人技能実習生の受入をする場合、概ね1年程度の事業協同組合の
運営実績(共同購入や共同受注など)がないと受入をする事ができません。
※受入には定款変更が必要です。(定款変更には1か月程度かかります)
※定款変更は決算が黒字である事が条件となります。(共同事業で黒字になっていること) 

事業協同組合のメリット・デメリット

■メリット

1.信用力が高くなります
  中小企業が集まり認可を受けることにより高い信頼性を得られます。

2.相互補完できます
    他の企業と連携することにより、ノウハウや技術など足りない部分を補完することが
  可能になり
ますし、情報交換もできます。
   
3.補助金や融資が受けやすくなります
    事業協同組合を設立すると国や県などが振興発展のために補助をしてくれる場合があり
      ます。
また、商工組合中央金庫等による長期低利融資が受けられたり、また民間の金融
      機関においても
融資の対象になります。


4.コストダウンになります
  個々の企業では保有できない設備を保有したり、原材料をまとめて購入することにより、
      コスト
ダウンが図れます。


5.税制が有利になります。
  法人税、印紙税、事業税、不動産取得税、固定資産税、事業所税等で税制が有利な軽減

      措置です。


 上記の他にも様々なメリットがあります。

 

■デメリット

1.設立までに時間と手間がかかります
  事業協同組合の設立には、概ね4ヶ月~6ヶ月程度かかります。

2.認可が取り消される場合があります
  運営状況が悪いと認可が取り消される場合があります。


3.役員は無報酬の場合があります
  収益が出るまで原則無報酬となります。

4.大企業、親族だけの組合は認められません
  給与所得者は組合員になれません。


5.すぐに外国人技能実習生は呼べません

  外国人技能実習生の呼び寄せをお考えの場合、組合設立から呼寄せまで1年半~2年程度
  かかります。
  事業協同組合(監理団体)の人的要件にご注意下さい。

 事業協同組合の主な事業

◆共同生産・加工事業

個々の組合では所有できない高額・大型の機械設備等を組合が導入し、組合員が必要とする
物を生産・加工し、組合員に供給する事業です。
これにより原価の引下げ、品質の向上、仕事の効率化などが可能となります。

◇共同購買事業

組合員が必要とする資材等を組合がまとめて購入し、組合員に供給する事業です。
これにより仕入価格の引下げ、取引条件の改善が図れます。
※一般的に文房具の購入は共同購買として認められません。 

◆共同販売事業

組合員が製造した製品等を組合がまとめて販売を行う事業です。
これにより販売価格や決済条件などの取引条件が有利になるほか、新販路の拡大等が
図れます。

◇共同受注事業

組合が窓口になって仕事を受け、各組合員が分担して製造・施行を行い、組合が納品する
事業です。これにより大口の発注や大型の工事を受注することが可能となり、組合員の技術力
の向上に繋がります。

◆市場開拓・販売促進事業

前述の共同販売事業や共同受注事業と連動して行われることが多く、組合員の製品や取扱い
商品の販路拡大、市場開拓を目指して行われます。
実施形態としては、展示会の開催・出展、共同での広告宣伝、共同売り出し、ポイントサービ
ス事業等で、組合が中心となってブランド化を進める事業です。

◇研究開発事業

企業の発展のためには常に新たな製品や技術の開発、生産工程の改善等が不可欠です。
この事業は、中小企業個々では困難な調査研究や研究開発を組合が共同で実施するものです。

◆人材養成事業

企業経営の根幹は人材です。組合が実施する人材育成事業は、組合員とその後継者、組合員
企業の従業員等を対象にして行うものなど様々ですが、計画的・体系的に教育研修を実施する
事が必要です。

◇情報提供事業

組合員の経営に役立つ市場等の情報等を収集して組合員に提供する事業です。
特にインターネットを活用した情報事業が、近年では重要になっています。

◆金融事業

組合員に対する事業資金の貸付、手形の割引、金融機関に対する債務保証等の形態で実施されます。

◇共同労務管理事業

組合員企業の従業員の確保・定着あるいは能力開発等、組合員が行う労務管理の一部を組合が
代わって行う事業です。
これにより、福利厚生等の労働条件、安全衛生、作業環境の改善が図れるほか、従業員の定着
率や技術・技能向上を図ることが可能となります。

◆福利厚生事業

組合員の生活面の向上を図るための事業で、健康診断、慶弔見舞金の支給、親睦旅行、レクリ
エーション活動等があります。
慶弔見舞金等で10万円を超える金額を支払う場合には、名称に関わらず「共済事業」に該当し
ますので、ご注意ください。


外国人技能実習生受入事業
事業協同組合が監理団体となって外国人技能実習生を受入れ、組合員企業で実習を行う
ことで、我が国の技能・技術・知識を発展途上国への移転を目的として行われるものです。
外国人技能実習生の受入には、職業紹介事業の許認可等、一定の要件が必要となります。

事業協同組合の概要

 

目  的 相互扶助
組合員の経営の近代化・合理化経済活動の機会の確保
性  格 営利・公益の中間法人
人的結合体
事  業 生産、加工、販売、購買、保管、検査、受注、利用、宣伝、市場開拓、
調査・研究、研究開発、金融、事務代行、団体協約、教育情報、福利
厚生、他
構成員との
基本的関係
組合事業の利用
設  立 行政庁の許認可後、登記
設立要件 4人以上の事業者が参加すること(法人・個人事業)
組合員資格 中小企業者(法人又は個人)
大企業の場合は、公正取引委員会30日以内に届出ること
発起人 4人以上(法人又は個人)
加  入 自由(理事会の承認が必要)
脱退 1.自由脱退(事業年度末)
2.法定脱退(組合員資格の喪失、死亡、解散、除名、審決)
組合員の責任 有限責任(1口以上)
1組合員の
出資限度
100分の25(特例あり)
(合併、脱退の場合100分の35)
議決選挙権等 平等(1人1票)
員外利用限度 1事業年度の組合員総利用高の100分の20まで(特例あり)
配  当 1.利益分量配当
2.出資配当(年10%を限度)
特別税制 法人税、登録免許税、印紙税、固定資産税、事業税等

※個人事業主は個人が組合員となりますが、法人の場合は法人そのものが組合員となります。

事業協同組合の設立要件・設立認可基準

 
1.4人以上の組合員(中小企業又は個人事業主)が必要です
  大企業や会社員(開業している人は除く)は組合員になれません。

2.組合名について
  組合名の前後に必ず「事業協同組合」又は「協同組合」の名称を用いなければ
  なりません。

3.出資金(資本金)について
  出資金の限度額は、100分の25(合併、脱退の場合100分の35)となります。

4.認可先について
  一都道府県のみの組合員で設立 ⇒ 都道府県知事の認可
  組合員が複数の都道府県で設立 ⇒ 経済産業局又は経済産業省などの認可

5.組織について
  理事3人以上、監事1名以上が必要となります。

6.組合員について
  異業種同士でも相互扶助できるのであれば設立可能です。
 

【事業協同組合の原則】
(1)組合員の相互扶助を目的とした組織であること
(2)加入・脱退が自由であること
(3)組合員の決議権、選挙権が平等であること
(4)剰余金は主として組合の事業の利用分量に応じて配当すること
(5)組合は、行う事業によって、組合員に直接奉仕するものであり、特定の組合員の利益
    のみ目的としてはならないこと
(6)政治的に中立であること
 

【設立認可基準】
(1)発起人が法定基準を充足し、かつ、組合員になろうとする者であること。
(2)創立総会の開催公告が適法に行われていること。
(3)設立同意者が組合員資格を有する者であること。
(4)創立総会が適法な定足数を充足して開催され、かつ、各議案につき適法な議決が
        行われていること。
(5)定款および事業計画書の内容が、中小企業等協同組合法その他法令に違反して
        いないこと。
(6)以下の点が組合の目的、事業計画と対比して矛盾がなく、各事項相互間に極端な
        不均衡がないこと。

 (ア)組合員資格
 (イ)設立同意者数
 (ウ)払込出資予定額
 (エ)役員の構成
 (オ)経済的環境


【不許可となる場合】
(1)払込出資額が著しく少額で、共同経営体としての組合であると認め難いとき。
(2)事業計画が漠然としており、共同経営体としての組合の目的ないし趣旨が著しく
       分明でないとき。
(3)組合員の極めて一部の者のみが組合の事業を利用するであろうことが明瞭であり、
        又は、発起人若しくは代表理事のみの利益のために組合を設立しようとすることが
        明瞭であって、組合は単に名目的な存在となる可能性が強いと認められるとき。
(4)極めて不安定な基礎の下に火災共済、その他の共済事業を行う目的をもって設立する
        ものであると認められるとき。
(5)出資金の日掛ないし月掛の払込、借入金の日掛の受入等によって、相互金融事業を行お
       うとするものであるとき。

事業協同組合設立の流れ、費用等

■設立の流れ


1.発起人を4名以上集める
    発起人は中小企業、個人事業主に限られます。


2.中央会に事前相談
  事業協同組合の所在地を管轄する都道府県の中央会に相談します。



3.発起人会を開催し基本事項の決定
     代表発起人の選出、定款案、収支予算案、事業計画案、設立趣意書等の作成


4.事前協議(任意)
   所轄行政庁へ事前相談。


5.創立総会開催公告
    公告は開催日の2週間以上前に行います。



6.創立総会
      定款の制定、事業計画、収支予算の決定、理事及び監事の選挙、その他議案の議決。


7.設立認可申請
     総会開始後、遅滞なく所轄行政庁へ申請。  事前協議から登記完了までは、2.5か月~
  3か月程度かかります。


8.設立認可

  発起人から理事に事務引継をします。


9.出資金の払込




10.設立登記
     出資の払込みがあった日から2週間以内に所轄の法務局で行います。
     ※組合設立日は登記申請日となります。


11.事業活動開始
    税務署等、関係各署に届出をします。



■設立費用
事業協同組合の設立には、登録免許税等の費用はかかりません。
※専門家への報酬額や各種書類の取得料を除く。
※東京都で設立する場合、別途資料作成実費(30,000円~45,000円)がかかります。


■設立までの期間
早ければ4か月程度で設立できる場合もありますが、6か月以上みておいた方が良い
でしょう。


■設立認可の申請先 

組合員の所在地 申請先
同一都道府県内 組合の主たる事務所を管轄する都道府県知事
同一局で2以上の都道府県の場合 各局(業種により異なる)
2以上の局にまたがる場合 各省庁(業種により異なる)

事業協同組合の設立認可申請に必要な書類

下記の書類はあくまでも例です。
申請する際は必ず所轄の行政庁にて必要書類を確認して下さい。 

 1.設立認可申請書
 2.定款
 3.設立趣意書
 4.発起人名簿
 5.事業計画書(初年度・次年度)
 6.収支計画表(初年度・次年度)
 7.資金計画表
 8.賦課金の賦課徴収方法
 9.設立同意書
10.設立同意書出資引受書
11.登記事項証明書(発起人)
12.印鑑証明書(発起人)
13.誓約書
14.設立同意者名簿
15.役員名簿
16.創立総会議事録
17.役員就任承諾書
18.理事会議事録
19.委任状

 当事務所の報酬額

当事務所の報酬額(税抜)の目安は以下の通りです。
お客様の状況により金額が変動する場合はございますので、ご了承下さい。

業  務  名 金  額 備  考
事業協同組合の設立 400,000円  
コンサルティング料 10,000円 1回あたりの価格
決算関係書類届出 60,000円  
定款変更認可申請 60,000円  外国人技能実習生以外の変更の場合
定款変更認可申請 150,000円 外国人技能実習生に関する変更の場合
定款以外の変更届 30,000円  

※上記以外に費用がかかる場合がございます。

お問合せについて

お問合せに料金は一切かかりませんので、事業協同組合のことで
ご不明な点がございましたら、以下の方法にて、どうぞお気軽に事業協同組合の設立なら、東京都墨田区の米井行政書士事務所におまかせ下さい。
お問合せください!

営業時間:9時~20時(土・日・祝は予約対応となります)
メール、SNSでは24時間お問合せ可能です。

TEL:03-4500-7777
携帯:090-1463-8657
E-mail:yonei@yonei-office.com
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外国人技能実習制度

外国人建設就労者の受入について

外国人技能実習生の保護

事業協同組合の定款変更

監理団体の新規許可申請

 

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